「45時間分」と実際の残業時間は、別々に確認する
「固定残業代45時間分を含む」と書かれていても、毎月45時間働く職場かどうかは分かりません。まず給与の内訳を読み、次に応募先の部署・現場の残業実績を聞きます。この二つがそろってから、希望する収入と働き方に合うかを判断しましょう。
「平均20時間です」と言われたら、次に何を聞くか
以下は読み方を説明する仮想例です。実在する求人や業界平均ではありません。
求人には「月給に現場手当と固定残業代45時間分を含む」、面接では「残業は月平均20時間」と説明されたとします。この段階では、給与の内訳も、忙しい月の働き方も未確認です。
| 分かったこと | まだ聞くこと |
|---|---|
| 月給に固定残業代が入る | 基本給・現場手当・固定残業代は、それぞれいくらか |
| 固定残業代は45時間分 | 対象となる割増賃金の種類は何か。超過時間分の追加支給と、固定額が法定の割増賃金額に足りない場合の差額は、どう支払われるか |
| 月平均20時間という説明がある | どの部署の、いつからいつまでの実績か。竣工・検査前の月はどうか |
「月給から固定残業代を引いた残り=基本給」とは限りません。この例では現場手当も含むためです。「平均20時間」についても、朝の打合せや終業後の写真整理を含む集計かを聞くと、数字の対象をそろえられます。
給与欄は、基本給・時間数・金額・追加支給の四つを見る
厚生労働省の求人募集時の案内では、固定残業代を採用する場合の明示事項が示されています。
- 固定残業代を除く基本給を示します。
- 固定残業代の計算の基礎となる時間数を示します。
- 固定残業代の金額を示します。
- 固定残業時間を超える時間外労働などについて、割増賃金を追加で支給することを示します。
ハローワークの入力案内でも、基本給に固定残業代を含む場合は分けて記入するとされています。定額的な手当と固定残業代も別の欄です。求人票に合計しか見当たらないときは、上の四点を分けて説明してもらいましょう。ハローワーク「求人情報の入力方法・賃金、手当情報」
同案内では、固定残業代は時間外労働の有無にかかわらず支給するものと説明されています。「45時間までは必ず働く」という意味にも、実際の残業が少ないという意味にも読み替えられません。45時間に届かなかった月の扱いが気になる場合も、この説明と応募先の賃金条件を照合します。欠勤などがある月の個別計算まで、一律には判断しません。

超過分は「45時間を超えたら」だけで済ませない
固定額が法律上の計算額に足りない場合は、その不足額を支払う必要があります。時間数だけでなく、何の割増賃金を固定額に含めているかも確認する理由です。厚生労働省「定額残業代と割増賃金の差額」
例えば夜間の切替工事がある求人なら、「この固定額は時間外労働だけの分ですか。深夜・休日の割増分は、どう計算されますか」と聞けます。「45時間以内なら、どの割増も追加不要」と自分で決めないことが大切です。
また、固定残業代の設定と、時間外労働をさせるための36協定・上限規制は別の確認事項です。固定残業代を払うこと自体が、時間外労働を認める条件にはなりません。
時間外労働の原則上限は月45時間です。年の原則上限は360時間です。建設業には2024年4月から上限規制が適用されています。災害時の復旧・復興の事業などには一部特例もあります。この記事では、個別企業への適用や違法性を判定しません。厚生労働省「時間外労働の上限規制」
面接の回答を、契約前に一枚へまとめる
次の三行を埋めれば、曖昧な点を残したまま月給だけで比較することを避けられます。
- 給与の内訳:基本給、各手当、固定残業代の金額と時間数。
- 追加支給:対象となる割増賃金の種類、超過時間分の追加支給、固定額が法定の割増賃金額に足りない場合の差額の計算と支払い方法。
- 実際の働き方:応募先の配属候補での残業実績、集計期間、忙しい月の状況。

その場で分からなければ、「どなたに確認すれば、いつまでに回答をいただけますか」と確認先と時期を決めます。
契約締結時には、賃金や労働時間などの労働条件の明示が必要です。主要な事項は書面交付が原則です。労働者が希望する場合の電子メール等での明示には、出力して書面を作成できることなどの条件があります。面接メモと最終的に示される条件を見比べ、不一致を契約前に確認しましょう。厚生労働省「労働契約の締結時に明示する労働条件」
給与以外も含めて比較する場合は、施工管理の求人票で見るべきポイントを使えます。まずは手元の求人一件について、上の三行のうち「書かれていないこと」に印を付けてください。
この記事は求人条件を確認するための情報提供です。求人紹介や個別の法律判断は行いません。制度の確認日:2026年9月7日。


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